妊娠中には首肩こりや背中の痛み、腰や鼠径部の痛み、膝の痛み、それ以外にも多くの症状が出ますよね。
今はホルモンバランスの変化により、心や体がなんとなく緊張しやすくなったり、無意識に体が固まってしまいやすい時期です。
そんなとき、ガチガチにこわばった部分をマッサージしたり背骨を整えることは非常に有効ですが、実は他にも体を楽にするためにできることがたくさんあります。
妊娠中は腹圧を強く使うことができない時期のため、腹圧以外の体の機能をやさしく引き出してあげることが負担を軽減するために大切になってきます。
当院では上記のようなお体の辛さの軽減に加え、全身の機能を高めて産後の生活まで見据えた体づくりも行っています。
・視野や三半規管など
視野や三半規管といった“空間を感じる力”が整ってくると、足元が見えにくくなる時期でも転倒の予防につながります。
また、日々変化する体をスムーズにコントロールできるようになることで、気持ちの面でも落ち着きやすくなります。
脳が穏やかに働いてくれることは、心の安定にもつながるんです。
・背骨、骨盤
お腹の張りなどで腹圧がかけにくくなる中でも、少しずつ増える体重を心地よく支えていけることが理想です。
うまく支えられないことで感じる体の痛みや不調は、ストレスの元になりやすいもの。
背骨に体重を預ける感覚や、背骨で動く感覚が育ってくると、体への負担がぐっとやわらぎ、より快適に毎日を過ごせるようになります。
・股関節、足首、足裏
お腹が大きくなると、足元が見えづらくなりますよね。
そんなときは足裏の重心感覚や、筋肉や関節の位置や負荷を感じ取る固有感覚がとても頼りになります。
お尻や土踏まずなどの下半身の感覚が自然に働いていると、妊娠後期でもしっかりと安定した足取りを感じることができます。
それは転倒予防にもなり、上半身の無意識な力みにもつながりにくくなります。
そして産後に増える中腰の姿勢や抱っこの負担を減らすためにも、この部分はとても助けになります。
・肩甲骨、肋骨
妊娠中はスマホや調べものをする機会が増えたり、お腹が大きくなってくることで、猫背になりやすい時期でもあります。
肩甲骨や肋骨の動きがスムーズになると、呼吸もしやすくなり、首や背中に余分な力が入りにくくなります。
「呼吸が浅い、苦しい」「首や肩や背中が張る」といった不快感も和らぎやすくなります。
・骨盤底筋
出産は体にとって大きな出来事。
中には会陰切開を経験される方もいらっしゃるかもしれません。
だからこそ、骨盤底筋を妊娠中からほんの少し意識して動かしておくことで、産後の回復がスムーズになる方も多いです。
出産後は、赤ちゃんのお世話などで忙しくなるので、今のうちに「なんとなく動かす感覚」をつかんでおくだけでも、とても役立ちます。
もちろん特別なトレーニングは必要ありません。できる範囲でOKです。
妊娠中の体は、毎日変化しています。
だからこそ、できることを無理なく少しずつ整えていくことで、ストレスを軽くしたり、産後の回復を助けたり、育児の体の負担をやわらげたりと、うれしい変化がたくさん期待できます。
焦らず、比べず、自分のペースで整えていきましょうね。